IMUG 2024 Open intra-mart “Meet Up@おおさか” 「ローコード開発ツールの活用」を語る(後編)
2024年6月21日。NTTデータ イントラマートのユーザー会「IMUG2024 Open intra-mart MeetUp @おおさか」が、現地とオンラインによるハイブリッド形式で開催されました。
前編では「ローコード開発ツールの活用」をテーマに2社の事例を紹介。後編はパネルディスカッションの様子をレポートします。
パネリストには日立造船株式会社より折橋正俊氏、大日本除虫菊株式会社より藤森一雅氏、そしてNTTデータ イントラマートから塙俊樹の計3名が登場しました。
開発ツールの使い分けや内製開発の始め方といったテーマを中心に、ディスカッションがスタートしました。
開発ツール、使い分けのポイントを紹介
最初のテーマは、intra-martにおける各種ツールの使い分けについて。2008年にリリースした「IM-FormaDesigner」にはじまり、2015年には「IM-LogicDesigner」、2019年には「IM-BloomMaker」がNTTデータ イントラマートからリリースされました。
用途については、フロントエンド(画面系)とバックエンド(ロジック系)、ノーコード・ローコード・プロコードといった開発手法の違いでそれぞれ分けることができます。
しかしこれは、整理の仕方の1つに過ぎません。「IMUG会員の皆さんはどのような使い分けをされているのでしょうか?」とモデレーターの七島がパネリストに問いかけます。
藤森 基本的にはIM-FormaDesigner(ノーコード)で作成しています。データベースや入力画面など、必要なものも一緒に作ってもらえることが理由です。スマホ対応させる場合や細かな調整をしたい場合にはIM-BloomMaker(ローコード)を使います。
折橋 我々はローコード開発が中心なので、フロントエンドとバックエンドをそれぞれIM-BloomMakerとIM-LogicDesignerで作成しています。また、Accel Studioは資材管理ツールとして活用しています。テンプレートを元にアプリケーションを自動で生成してくれる、Accel Studioの機能は現在検証中なのですが、更に利活用が拡がることを期待しています。
NTTデータ イントラマートのプロダクト開発に8年間従事していた塙からは、そのほかの会員企業での活用事例として、次に挙げるような傾向があると説明がありました。
塙 これまで紙ベースで運用していたものを電子化する際には、IM-FormaDesigner(ノーコード)を利用して開発する例が多くありました。そこにデザイン性の高さやAPI連携なども考慮する場合には、ローコードツールも活用するということが増えていると思います。
外注活用・内製推進のポイントについて
次のテーマは「外注活用・内製推進のポイント」です。intra-martを使った内製化の推進はIMUG会員にとっても興味があるところ。登壇企業の2社では、どのような体制を構築しているのでしょうか?
藤森 自社独自の業務や小さく始めたい場合には内製開発をしています。一方で法律が絡んでいるものやデータが複数に絡んでシステムが複雑になりそうなケースでは外注を検討します。外注する場合でも、まず実現性や難易度を捉えるために、社内でIM-FormaDesignerなどでパパパッとプロトタイピングを行うケースは存在します
これに対して折橋さんは、次のように自社の方針を示しました。
折橋 日立造船ではDX戦略を打ち出していることもあり、内製化に注力しています。ただし、システム開発の規模が大きくなると社内のメンバーだけでは対応が難しくなります。そういったケースでは外部パートナーとの連携も視野に入れます。重要なのは、あくまで自社がイニシアチブを握って進めるという点です。
ここでモデレーターは、「内製開発と請負開発」の体制モデルについて解説を挟みました。顧客主体の内製開発とベンダー主体の請負開発、中間にある「自社で開発体制を保持しつつ、部分的に外注する方法」がそれぞれあるといいます。
七島 主体的に主導権を握ってプロジェクトを進めるということであれば、それは広い意味で「内製開発である」と言えるのではないでしょうか。
「内製開発+請負開発」の中間モデルを採用する場合、開発プロセスにおける業務の切り出し方にもポイントがあると折橋さんは続けます。
折橋 業務の流れをベンダーさんに説明するには多くの時間を要します。そのため、BPMN分析は自社で進めるのが良いと考えています。実際の開発はベンダーさんのほうが長けていることが多いと思うので、うまく掛け合わせてスピード感を出しています。ロジックの開発などは、社内のリソースでは厳しいところがあるので、当社の責任でベンダーさんに作っていただくことは多いと思います。
これを受けて、藤森さんも自社での取り組みを紹介する流れに。
藤森 当社は、外部パートナーと請負や派遣契約ではなく、ラボ契約のようなものを準委任契約で取り交わし、”一緒に学ぶ”というスタンスで長くお付き合いが出来るようなチャレンジを行っています。難易度が高い開発を中心に、外部パートナーに開発してもらうという役割分担で内製開発を推進しています。
内製開発時の取り組み・工夫
次の投影資料に映し出されたのは「内製開発の進め方」の文字。副題には、IT初心者に向けた内製開発時の取り組みや工夫といった言葉が並びます。
モデレーターは藤森さんに対して、「本日のMeet Up前半には、入社して5ヶ月のメンバーが取り組んだ内製開発の事例紹介がありました。その時は具体的にどこから着手したのでしょうか?」と促しました。
藤森 当社では実際にintra-martを触って手を動かしてもらい、わからない箇所はintra-mart開発経験者の先輩社員に聞きながら操作を学んでもらいました。開発未経験のメンバーにも実案件を少しずつ渡しながら、「失敗してもすぐにカバーするから」と伝えた上でチャレンジを続けてもらうというOJT方式です。
一方で折橋さんからは、NTTデータ イントラマートが提供するコンテンツを使った学習方法が伝えられました。
折橋 当初、intra-martを導入してすぐは、NTTデータ イントラマートのトレーニングプログラムをすべて受講してもらっていました。続ける中で、intra-martの初学者であってもIM-BloomMakerとIM-LogicDesignerについてはトレーニングを受けることで、すぐさま実践を通じて一定のクオリティを出せるようになると気づき、この2つの製品に関するトレーニングは今も受講してもらうようにしています。
そのほか、BPMN分析など必須のスキルについても、無料で閲覧可能な動画コンテンツ『NTT DATA INTRAMART Tech』の活用法やIMUG会員企業だけが視聴できる、過去イベントのアーカイブ動画の有用性についても紹介がありました。
パネルディスカッションも終盤に差し掛かると、IM-LogicDesignerを使った外部連携の事例が共有されるなど、より踏み込んだ内容が展開されました。
今後チャレンジしたいテーマ・内容
最後は「今後チャレンジしたいテーマ・内容は何か?」をテーマに、パネリストがそれぞれの展望を語りました。
折橋 標準化については引き続き進めていきたいですね。Accel-Martを活用して、外部と内部のサーバーを連携して何かできないかなど構想は色々あります。新しいモジュールも出てきていますし、本体のシステム(SAP)とも連携したい。今は落ち着いて取り組める時間が一番ほしいですね。
藤森 経費精算などでクラウドツールの導入が始まっているので、データの利活用も含めてintra-martとの業務連携ができたら嬉しいですね。IM-BloomMakerで色々とグラフの種類も出ているので、それも活用したいと思っています。当社では今、Pythonの環境を作っているので、近いうちに作成したグラフをIM-BloomMakerに載せてみたり機械学習にも繋げてみたりと、やりたいことは尽きません。
これまで、intra-martの製品開発に携わってきた塙からは、本日のパネルディスカッションに関する総括の言葉と共にあいさつがありました。
塙 これまで製品開発に携ってきた身としては、想定通りに使ってもらえていて嬉しいなと感じる場面も多く、聞いていてとても嬉しくなりました。現在私は、開発本部からエンタープライズソリューション本部に部署が移り、intra-martを用いたお客様向けのシステムを開発する、ユーザーとして製品を利用する立場になりました。いざユーザー視点に立つと、「もっとこういう機能があれば」と思う部分が色々と出てくるものです。それらを製品開発担当にフィードバックすることで、より効果的に使っていただけるようIMUG会員の皆さまに還元していけたらと思います。
これにて、IMUG 2024 Open intra-mart MeetUp@おおさかの閉幕です。イベントレポートの内容はいかがだったでしょうか。
IMUGでは、ユーザー企業のintra-mart活用事例を中心に、DXをお互いに学び合うための場としてさまざまなイベントを実施しております。今後の活動にもぜひご期待ください!
(IMUG事務局編集部)